【設立の想い】マイスター高等学院が目指す「日本の未来を変える人材」とは?職業教育と正社員キャリアを統合した次世代マイスター育成の理念

はじめに:高校生活が「日本を守る使命」に直結する新しい教育の形
私たちマイスター高等学院は、単なる高校卒業資格を取得するための学校ではありません。
少子高齢化が進む日本社会において、建設業、製造業、福祉、介護、農業、飲食業といった地域産業を支える担い手が不足しています。この深刻な課題に真正面から向き合い、解決の一翼を担うために設立されたのが、私たちマイスター高等学院です。
本学院の最大の特徴は、高校教育と職業訓練、そして正社員としてのキャリア形成を一体化させた独自のシステムにあります。生徒たちは入学と同時に企業と雇用契約を結び、収入を得ながら専門技術を学び、卒業後はそのまま正社員として社会で活躍する道が用意されています。
この記事では、マイスター高等学院が掲げる理念と、私たちが育成を目指す「マイスター」という人材像について、詳しくご説明します。
設立の背景:労働者不足という日本の課題に挑む
地域産業が直面する深刻な人材不足
日本の労働市場は今、大きな転換期を迎えています。特に、生活インフラを支える現場では人手不足が深刻化しており、このままでは社会の持続可能性が脅かされる状況にあります。
建設現場では熟練の大工が高齢化し、後継者が育っていません。介護施設では利用者が増える一方で、現場を支えるスタッフが足りていません。農業においても、担い手の減少が食料安全保障の問題として浮上しています。
これらの産業に共通するのは、「技術の伝承」と「若い世代の参入」という二つの課題です。従来の教育システムでは、高校を卒業してから職業訓練を受け、就職するという流れが一般的でした。しかし、この方法では時間がかかりすぎ、若者が現場で本格的に活躍するまでに多くの時間とコストが必要になります。
教育段階からの職業訓練という解決策
私たちは、この課題を解決するために、教育の段階から職業訓練を統合するという革新的なアプローチを採用しました。
高校生活の3年間を、単に教科書を学ぶだけの期間にするのではなく、実際の現場で技術を磨き、社会人としての基礎を固める期間として活用するのです。これにより、卒業時には即戦力として活躍できる人材を育成することが可能になります。
このシステムは、生徒にとっても大きなメリットがあります。収入を得ながら学べるため、経済的な負担が軽減されます。また、将来のキャリアが明確になっているため、不安なく学業に専念できる環境が整っています。
一般社団法人マイスター育成協会という基盤
私たちの教育システムは、一般社団法人マイスター育成協会に正会員として参画した各企業が、それぞれ独立した学校として運営しています。
この協会を中心とした組織的な基盤があることで、教育の質を維持し、継続的な改善を行うことができます。実際、2024年12月11日には第二回総会が開催され、関係者が一堂に会して今後の方針を議論しました。
複数の企業が協力し合うことで、それぞれの専門性を活かした教育プログラムを提供できる点も、このシステムの強みです。
マイスターとは何か:技術と人間性を兼ね備えた人材像
「マイスター」という言葉に込めた想い
私たちが育成を目指す「マイスター」とは、単に技術に長けた職人というだけではありません。それは、確かな専門技術と、社会人としての高い人間性を兼ね備えた、次世代の地域産業を担う人材を指します。
「マイスター」という言葉は、ドイツ語で「巨匠」や「名人」を意味します。ヨーロッパでは、職人としての最高位の称号として長い歴史を持つ言葉です。私たちは、この伝統的な職人精神を日本の教育に取り入れ、現代社会に必要な形で進化させることを目指しています。
現代の「マイスター」に求められるのは、技術だけではありません。チームワーク、コミュニケーション能力、倫理観、そして社会貢献への意識。これらすべてを統合した人材こそが、真のマイスターなのです。
働きながら学ぶ:実践教育の本質
本学院の最大の特徴は、生徒が働きながら学ぶという点にあります。
入学と同時に、生徒は学院を運営する企業と3年間の有期雇用契約を結びます。これは単なるアルバイトではなく、正式な雇用関係です。生徒は従業員として現場に立ち、実際の業務を通じて技術を習得していきます。
例えば、現在開設されている大工コースでは、生徒たちは実際の建築現場で木材の扱い方から学びます。最初は簡単な作業から始まり、徐々に高度な技術に挑戦していきます。先輩職人の指導を受けながら、実際の仕事を通じて技術を体得するのです。
この実践的な学びには、教科書では得られない多くの価値があります。木材の手触り、道具の重さ、現場の空気感。これらはすべて、実際に体験することでしか学べないものです。
さらに、収入を得ながら学べることで、生徒は経済的に自立する喜びを早い段階から経験します。自分の働きが社会に貢献し、それが収入という形で評価されることを実感することは、若者の成長にとって極めて重要です。
「志と人間力」を育む教育
技術だけでは、真のマイスターにはなれません。私たちは「志と人間力」の育成にも力を入れています。
本学院では、授業でYouTubeの『論語物語』を活用することを推奨しています。論語は、中国の思想家である孔子の言葉をまとめた古典です。「仁」「義」「礼」といった概念を学ぶことで、生徒たちは社会人として必要な倫理観を身につけます。
なぜ古典を学ぶのか。それは、技術だけを持った人材ではなく、社会に対する責任感と使命感を持った人材を育てたいからです。
例えば、建築現場で働く際、納期を守ることは重要です。しかし、それ以上に大切なのは、そこに住む人の安全と幸せを考えることです。手抜き工事は絶対に許されません。これは技術の問題ではなく、人間性の問題なのです。
このような倫理観を、若いうちから身につけることで、社会から信頼される真のプロフェッショナルが育ちます。
一貫したキャリア設計:不安のない未来への道
3年間の有期雇用から正社員へ
多くの高校生が抱える不安の一つに、「卒業後の進路」があります。就職活動がうまくいくだろうか。自分に合った仕事が見つかるだろうか。こうした不安を抱えながら高校生活を送ることは、学業に専念する妨げになります。
マイスター高等学院では、この不安を解消する明確なキャリアパスを提供しています。
生徒は入学時に3年間の有期雇用契約を結び、卒業後はそのまま正社員として転換されます。つまり、入学した時点で、卒業後の就職先が確定しているのです。
この仕組みには大きな意味があります。生徒は就職活動に時間を割く必要がなく、3年間を技術の習得と人間性の向上に集中できます。また、企業側も、3年間かけて育てた人材を継続して雇用できるため、投資が無駄になりません。
さらに、生徒と企業の間には、3年間という長期にわたる信頼関係が構築されます。お互いをよく知った状態で正社員としてのキャリアがスタートするため、ミスマッチが起こりにくいという利点もあります。
通信制高校との連携による高卒資格取得
実践的な職業訓練に重点を置く一方で、私たちは学歴の重要性も理解しています。
マイスター高等学院は通信制高校と連携しており、生徒は働きながら高等学校卒業資格を取得できます。これにより、学歴面で不利になることなく、将来のキャリア選択の幅を広げることができます。
通信制のカリキュラムは、現場での実務と両立できるよう工夫されています。オンライン学習や、集中スクーリングなどを活用し、無理なく学業を進められる体制を整えています。
現在のコースと今後の展開
2025年現在、本学院では大工コースに生徒が在籍しています。建築という日本の基幹産業において、次世代の担い手を育成することに注力しています。
大工という職業は、単に家を建てるだけではありません。日本の伝統的な木造建築の技術を継承し、地震大国である日本において安全で快適な住環境を提供する、極めて重要な役割を担っています。
今後は、農業をはじめとする他の分野でもコースを開設する予定です。それぞれの産業が抱える人材不足の課題に対して、私たちの教育システムが解決策を提供していきます。
未来創造企業:信頼できる就職先という保証
未来創造企業とは何か
マイスター高等学院の卒業生が就職するのは、一般社団法人未来創造企業研究所(JFR)によって認定された「未来創造企業」です。
未来創造企業とは、単に利益を追求するだけではなく、「事業を通じた継続的な社会課題の解決」を第一の目的に掲げる企業です。サスティナブル・ソーシャル・カンパニー(SSC)として、明るい持続可能な社会の構築を目指しています。
この認定制度は、生徒たちが安心して働ける環境を保証するための重要な仕組みです。
厳格な基準による労働環境の保証
未来創造企業として認定されるためには、以下の3つの分野で一定の基準をクリアする必要があります。
まず、福利厚生です。従業員が安心して長く働けるよう、充実した福利厚生制度が整備されていることが求められます。
次に、就業条件です。労働時間、休日、給与などが適切に設定され、従業員の生活の質を保証できることが条件となります。
そして、労働環境です。安全で快適な職場環境が整備され、従業員の心身の健康が守られることが必要です。
これらの基準をクリアすることで、「社会貢献が実現でき、安心して働ける会社」としての認定を受けることができます。私たちは、こうした企業にのみ卒業生を紹介しています。
第三者評価による客観的な信頼性
未来創造企業の認定は、企業自身による自己評価ではありません。第三者評価という客観的な視点から、厳正に審査されます。
評価の指標は、「地球」「社会」「地域」「顧客」「取引先」「従業員(家族)」「経営者」という7つの分野にわたります。これらすべての観点から、企業が本当に社会課題の解決に取り組み、持続可能な経営を行っているかが検証されます。
この多角的な評価により、認定企業は社会から信頼される存在として認知されます。そして、その企業で働く従業員もまた、自分の仕事が社会に貢献していることを誇りに思えるのです。
第三者評価を受けることで、企業は地域や社会からの信頼を高め、ステークホルダーとの関係を強化できます。その結果、公益、共益、私益すべてが向上し、企業の持続的な発展につながります。
未来創造企業が追求する3つの価値
社会的価値(公益):広く社会全体に貢献する
未来創造企業が追求する第一の価値は、「社会的価値」、すなわち公益です。
これは、特定の個人や組織だけでなく、広く社会全体に効果や影響が及ぶ価値を指します。例えば、安全な建物を建てることは、そこに住む人だけでなく、地域全体の安全性を高めます。質の高い介護サービスを提供することは、高齢者とその家族の生活を支え、社会全体の福祉水準を向上させます。
マイスター高等学院の卒業生は、こうした社会的価値を創出する現場で活躍します。自分の仕事が社会に貢献していることを実感できることは、働く喜びの源泉となります。
関係主体幸福度(共益):双方向の価値提供
第二の価値は、「関係主体幸福度」、つまり共益です。
これは、企業から顧客や社会への一方的な価値提供ではなく、双方向的な関係性を築くことを意味します。従業員が企業に貢献し、企業が従業員を大切にする。顧客が企業を信頼し、企業が顧客の期待に応える。こうした相互の信頼関係が、共益という価値を生み出します。
私たちが「志と人間力」の育成に力を入れるのは、この共益を実現できる人材を育てたいからです。技術だけでなく、高いコミュニケーション能力と倫理観を持つことで、周囲との健全な関係を築ける人材が育ちます。
経済的価値(私益):持続可能な企業経営
第三の価値は、経済的価値、すなわち私益です。
どれほど崇高な理念を掲げていても、企業が経済的に成立しなければ、継続的な社会貢献はできません。未来創造企業は、社会的使命を果たしながら、同時に健全な経営を維持することが求められます。
これは、社会貢献と経済性が対立するものではないことを示しています。むしろ、社会課題の解決に真摯に取り組むことで、社会から信頼され、結果として経済的にも成功するという好循環が生まれるのです。
マイスター高等学院の卒業生は、このような健全で持続可能な経営を行う企業で働くことができます。それは、安定した雇用と充実したキャリアを意味します。
マイスター高等学院がデザインする未来
私たちマイスター高等学院が目指すのは、単に技術を持った労働者を育成することではありません。
それは、日本の未来を支える地域産業の担い手として、確かな技術と高い人間性を兼ね備えた「マイスター」を育成することです。そして、その卒業生が未来創造企業という信頼できる環境で活躍し、社会全体の幸福度向上に貢献することです。
私たちの教育システムは、従来の高校教育と職業訓練、そしてキャリア形成を一体化させた、極めて独自性の高いものです。
3年間の有期雇用契約による実践的な学び、卒業後の正社員転換による明確なキャリアパス、そして厳格な基準をクリアした未来創造企業への就職。これらすべてが統合されることで、生徒たちは不安なく学業に専念し、社会で活躍できる人材へと成長していきます。
私たちの取り組みは、まるで未来の建物を高校時代から建設するプロジェクトのようです。生徒たちは、信頼できる指導者のもとで、必要な技術という建築資材と、人間性という基礎を現場で積み上げていきます。そして卒業時には、社会という大きな都市で即座に機能する、完成度の高い建物として活躍を始めることができるのです。
労働者不足が加速する日本において、私たちの取り組みは一つの解決策を示しています。教育の段階から職業訓練を統合し、企業と学校が協力して人材を育成する。この新しいモデルが、日本の未来を変える力になると信じています。
お問い合わせについて
マイスター高等学院は、一般社団法人マイスター育成協会に正会員として参画した各企業が、それぞれ独立して運営する学校形態です。
本学院についてのお問い合わせは、お電話(078-381-5884)またはメールにて承っております。また、未来創造企業についてさらに詳しく知りたい場合は、一般社団法人未来創造企業研究所(JFR)のウェブサイトをご覧ください。
私たちは、日本の未来を担う若者たちとともに、明るい持続可能な社会を築いていきたいと考えています。ご興味をお持ちいただけましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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