通信制高校で資格取得できる?職業教育で目指せる資格と進路を解説

通信制高校でも職業教育を選べば、高卒資格と実務系資格を同時取得できる
【この記事のポイント】今日のおさらい3つ
- 通信制高校では、高卒資格に加えてPC・語学・福祉・ビジネス系など複数分野の資格取得を目指せるが、中身は学校ごとに大きく違う。
- 「資格の数」よりも「どの資格をセットで取るか」「どのくらい合格率が出ているか」を見ないと、進路に活かせない資格コレクターになりやすい。
- 行動レベルでは、気になる通信制高校のパンフや説明会で「取れる資格」「合格実績」「卒業後の進路」を具体的な数字で確認することが、不安を減らす最短ルートになる。
この記事の結論
一言で言うと、「通信制高校でも、職業教育に力を入れた学校なら在学中に資格取得は十分狙える」ということです。最も重要なのは、「自分の将来像に近い資格が、カリキュラムに組み込まれているかどうか」を基準に学校とコースを選ぶことであり、失敗しないためには「取れそうな資格」ではなく「進学・就職で評価される資格」を軸に、2〜3年で狙う資格の優先順位を絞り込むことが欠かせません。
通信制高校で本当に取れる資格とは?基本と全体像
まず押さえるべき「高卒資格」とその意味
通信制高校に通う最大の目的は、多くの人にとって「高等学校卒業資格(高卒資格)」です。文部科学省が認める正式な卒業資格であり、全日制・定時制と同じ扱いで、大学・短大・専門学校への進学や、公務員試験・一般企業への就職にも利用できます。
高卒資格を取るための基本条件は、3年以上の在籍、74単位以上の修得、特別活動30時間以上の3つで、通信制の場合はレポート・スクーリング・テストを組み合わせて単位を積み上げていきます。実はこの「高卒資格」自体が、資格の1つと考えてよいほど重要な「スタートライン」です。
高卒資格の重要性は、進学や就職の場面で際立ちます。大学受験では「高卒者対象」という条件に該当でき、就職でも「高卒以上」という求人に応募できるようになります。さらに、公務員試験や各種国家試験でも、多くが「高卒以上」の学歴要件を設定しているため、この資格がなければスタートラインに立つことすら難しいのです。
実体験①:高認から通信制高校に入り直した生徒のケース
以前、進路相談の現場で「高認(高卒認定)」だけを持っていて、就職活動で何度も落ちてしまった20代前半の方と話したことがあります。高認は大学受験には有効ですが、「学歴」としては「高卒」とは別枠で扱われるケースが多いため、求人票の「高卒以上」の条件に引っ掛かってしまう場面もあったそうです。
最終的にその方は、通信制高校に編入して1年半で高卒資格を取り直し、職業教育コースで医療事務の資格も取得しました。「履歴書の『学歴』の欄に高校卒業と書けるようになっただけで、面接での話の流れが変わりました」と、少しほっとした表情で話してくれたのが印象的です。
この事例から見えるのは、形式的な資格要件の重要性です。不公平に見えるかもしれませんが、採用側は「同等の学歴」を持つ候補者を効率的に探すために学歴フィルターを使う傾向があります。そのため、高卒資格という形式的な証明を持つことが、キャリアの第一歩になるのです。
通信制高校でよく目指される資格の種類
通信制高校で目指せる資格は、学校やコースによってかなり幅がありますが、代表的なものは次の通りです。
学校教育系では、高等学校卒業資格が最も基本となります。
語学・教養系としては、実用英語技能検定(英検)や日本漢字能力検定などが挙げられます。これらは大学入試での加点対象になることもあり、進学志向の生徒に人気があります。
ビジネス・お金系では、日商簿記検定やファイナンシャル・プランニング技能検定3級などが用意されています。ビジネススキルの基礎を幅広く学べるため、営業職や事務職志望の生徒に選ばれています。
IT・パソコン系としては、マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)、ITパスポート、基本情報技術者試験などがあります。デジタル化が進む業界全体で需要が高く、あらゆる職種で評価されやすい資格です。
デザイン・クリエイティブ系では、色彩検定やAdobe系資格・Web関連資格などが用意されています。クリエイティブ業界志望者にとって、実務レベルのスキル証明になります。
福祉・医療系では、介護職員初任者研修や医療事務関連の民間資格などが提供されています。少子高齢化の影響で人材不足が深刻なため、これらの資格は就職に直結しやすいのが特徴です。
職業教育に強い通信制高校では、これらに加えて「大工・建設」「美容」「動物」「調理」などの技能系資格や修了証が組み込まれているケースもあります。
職業教育一体型の通信制高校が持つ強み
職業教育に特化した通信制高校やサポート校では、通常の高卒資格に加えて、提携する専門学校や技能教育施設で資格取得のカリキュラムを受けられる仕組みがあります。
大阪通信制高校グループの資料では、技能教育施設での学びが高校の一部の教科の履修とみなされ、「高校卒業資格+技能教育施設の修了・卒業資格」を同時に得られると説明しています。正直なところ、この「二重取り」の仕組みを知っているかどうかで、3年間の密度がぜんぜん違ってきます。
これは、高校卒業という学歴と、実務的なスキルを証明する資格の両方を得られる、きわめて効率的な学習方法なのです。
実体験②:通信制×職業教育コースに進んだ生徒のリアル
筆者が取材したある通信制高校の職業教育コースでは、週3日は提携校の建築実習所で木工や内装の基礎を学び、残りの日で通信制のレポートとオンライン授業をこなすスタイルでした。
生徒は最初「レポートと実習の両立で頭がパンパンでした」と話していましたが、指導員からは「でも半年たつと、工具の名前も自然に出てくるようになってたよね」と肯定的なフィードバックを受けていました。生徒自身も「高3のときには、アルバイト先の工務店で『高校生なのに一人前だな』って言われて……それが一番うれしかったです」と回答していました。
資格として残ったのは、建築関連の技能証や安全講習の修了証でしたが、本人にとって一番の財産は「現場で通用する手と体の感覚」だと感じました。この体験こそが、職業教育の本当の価値なのです。
在学中の資格取得でよくある失敗と、上手な選び方
よくある失敗①「資格の数だけ増やしてしまう」
よくあるのが、「資格は多いほど安心」と考えて、何でもかんでも受験してしまうパターンです。英検・漢検・MOS・簿記…と続けて受けるうちに、気づけば「テスト勉強ばかりで、本当にやりたいことが見えなくなった」という声も聞きます。
特に通信制高校では、レポート・スクーリング・アルバイト・通院など、すでに時間が細切れになりがちです。そこに資格勉強を詰め込みすぎると、どれも中途半端になり、結果的に不合格が続いて自信を失ってしまうリスクがあります。
このような失敗を避けるには、「受ける資格は、在学中に最大3つまで」と最初に上限を決めることが有効です。また、「高卒+1つめ:基礎系資格(英検・簿記など)」「2つめ:進路直結の資格」というように、役割を分けて考えることも重要です。さらに、担任や進路指導と一緒に、2〜3年単位の「資格ロードマップ」を作ることで、計画的な進行が可能になります。
正直なところ、資格は「数よりも『使い道』」なのです。
よくある失敗②「難易度だけで選んでしまう」
もう1つのよくあるのが、「せっかくなら難しい資格の方がカッコいい」という理由で選んでしまうパターンです。たとえば、ほとんどプログラミング未経験なのに、いきなり基本情報技術者試験から挑戦して挫折した…という話は珍しくありません。
ケースによりますが、在学中は「レベル3〜4の国家試験」を狙うよりも、ITパスポート(情報の基礎+DXの素養)、日商簿記3級(お金とビジネスの基礎)、英検2〜準2級(語学の基礎力)といった「汎用性が高く、次のステップへの土台になる資格」を押さえておいた方が、その後の進路の選択肢が広がりやすいです。
基礎系資格での成功体験は、学生の自信につながり、その後のキャリア選択をより前向きにします。
通信制高校ごとの違いと、比較のポイント
通信制高校は全国に数多くあり、「資格が取れます」と書いてある学校も多いですが、実際の中身はかなり違います。
比較するときにチェックしたいのは、次の4点です。どんな種類の資格を扱っているか(一覧とレベル)、年間の受験者数と合格率がどの程度か、授業として組み込まれているか完全に自主学習なのか、資格取得後の進路(進学・就職)の具体例が提示されているかです。
正直なところ、「取れる資格の数」だけを並べている学校より、「この資格を取った生徒が、こういう進路に進んでいます」とビフォーアフターを出している学校の方が、現場感があります。
資格取得から「その先」へ 進路・キャリアにどうつなげるか
進学に活かせる資格と、その使い方
大学・短大・専門学校への進学を考える場合、資格は大きく2つの役割を持ちます。1つ目は、出願要件・加点対象になる資格(英検・日商簿記・情報系など)としての役割で、2つ目は総合型選抜(AO入試)や推薦入試で「やりたいことの証拠」として使える資格としての役割です。
ベネッセ高等学院などの情報でも、通信制高校での資格取得は、総合型選抜でのストーリー作りに活かせるとされています。
進路指導の現場では、このような会話がよく聞かれます。生徒が「資格って、結局どれが一番効きますか?」と質問すると、先生は「『一番』はないよ。でも、あなたが将来やりたいこととつながっているかどうかで、重さは変わる」と返します。さらに「建築系の専門に行きたいなら?」という質問には、「数学・物理がんばるのが第一。そのうえで、CADやBIMに触れている経験があれば強いね」と具体的にアドバイスします。
実は、進路指導の先生は「大学名」だけでなく、「その先にどんな仕事があるか」まで見据えてアドバイスしてくれることが多いのです。
就職・アルバイトにつながる資格と支援制度
就職やアルバイトに直結しやすいのは、医療事務・介護職員初任者研修などの福祉・医療系、MOS・ITパスポートなどの事務・IT系、調理・美容・動物関連の技能系(提携校での修了証)などです。
厚生労働省は、若者のキャリア形成支援としてキャリアコンサルティングや教育訓練給付金などの制度を整備しており、指定講座を受講すれば受講料の20〜60%が支給されるケースもあります。「高校卒業後に資格を取り直す」選択肢もあるため、在学中にすべてを詰め込む必要はありません。
就職支援の現場で出会った20代の方は、通信制高校卒業後に、職業訓練校で介護職員初任者研修と実務者研修を取得しました。本人は「高校のときは、とりあえず英検と簿記しか取ってなかったんです」と話していましたが、キャリアコンサルタントからは「それも立派な土台だよ。そこに福祉系の資格を載せると、選べる職場が一気に増える」とアドバイスを受けていました。
資格単体ではなく、「組み合わせ」でキャリアを設計していく感覚が、通信制×職業教育の強みだと感じました。
資格よりも大事な「現場経験」とのバランス
よくあるのが、「資格がないと就職できないのでは?」という不安です。もちろん、国家資格が必要な職種もありますが、多くの現場では「資格+経験」または「資格はこれからでもOK、その代わり現場での姿勢を見たい」というスタンスが増えています。
職業教育一体型の通信制高校では、在学中にインターンやアルバイト、OJTを経験し、そこから資格取得や進学につなげていくケースも多いです。正直なところ、「資格の勉強で忙しすぎて現場を見ていない」状態は、本末転倒になりがちです。
現場経験と資格取得のバランスを取ることが、実社会で本当に評価される人材育成につながるのです。
よくある質問
Q1:通信制高校でも、本当に在学中に資格は取れますか?
はい、取れます。高卒資格に加え、英検・簿記・MOS・ITパスポート・医療事務など、多くの通信制高校で在学中の資格取得サポートが用意されています。ただし、学校によってサポート体制や成功率に差があるため、具体的な合格実績を確認することが重要です。
Q2:全日制と比べて、資格取得で不利になることはありますか?
カリキュラムの時間数は少なめになることが多いですが、その分自分のペースで勉強時間を確保しやすいというメリットもあります。「通信制だから不利」というより、「時間の使い方次第」で結果が変わるイメージです。
Q3:どの資格から勉強するのが良いですか?
結論として、多くの人にとっての「最初の一歩」になりやすいのは、英検・日商簿記3級・MOS・ITパスポートなどの基礎系資格です。難関資格より「汎用性が高いもの」から始める方が、成功体験を積みやすくなります。
Q4:在学中に資格をいくつくらい目指すのが現実的ですか?
ケースによりますが、「高卒資格+2〜3つ」が現実的な目安です。数を増やしすぎるとレポートやスクーリングとの両立が難しくなるため、優先順位をつけた方が結果的に合格率は上がります。
Q5:資格がなくても、就職はできますか?
できます。ただ、「求人に応募できる業界の幅」や「採用される確率」は、資格の有無と種類によって変わります。資格があることで、採用側が「育てやすい人材」と判断しやすくなるのは事実です。
Q6:通信制高校選びで、資格以外にチェックすべきポイントは?
資格はあくまで一部です。実習・インターンの有無、キャリア教育の充実度、進路相談の体制、卒業生の進路実績なども必ず確認しましょう。「資格+進路サポート」がセットになっている学校ほど安心感があります。
Q7:こういう人は今すぐ相談すべき?
「今の学校では資格も進路相談も十分に受けられていない」と感じている人、「通信制に興味はあるけれど、卒業や資格取得に不安があって踏み出せない人」、「働きながら、高卒資格と資格取得の両立を考えている社会人・既卒の人」といった人は、職業教育に強い通信制高校やサポート校のオンライン相談・オープンキャンパスを、1校だけでもいいので早めに予約しておくのがおすすめです。
まとめ
通信制高校でも、高卒資格に加えて複数の資格を在学中に取得することは十分可能であり、職業教育一体型の学校では「技能資格+修了証」も同時に狙える環境が整いつつあります。
成功のカギは、「資格の数」ではなく「進学・就職で評価される資格を、2〜3年のロードマップで計画的に取ること」と「現場経験とのバランス」を意識することです。
迷ったときは、パンフレットやサイトの情報だけで判断せず、「取れる資格」「合格率」「卒業後の進路」を具体的な数字で質問し、あなたの将来像に一番近い資格と学び方を提案してくれる学校を選ぶのが失敗の少ないやり方です。
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