未来創造企業認定研修とは?マイスター高等学院が学ぶ持続可能な企業経営の実践

はじめに
こんにちは。マイスター高等学院です。
私たちマイスター高等学院は、一般社団法人未来創造企業研究所から「未来創造企業(SSC:サスティナブル・ソーシャル・カンパニー)」として認定をいただいています。この認定は、単なる称号ではありません。私たちが目指す「社会課題の解決を事業の中心に据えた経営」を、第三者の視点から客観的に評価していただいたものです。
そして、この認定を受けた企業には、定期的に開催される「認定企業研修」への参加機会が与えられます。私たちは13期生として、2026年2月から5月にかけて、この研修に参加しました。
本記事では、未来創造企業の認定企業研修がどのようなものか、そして私たちマイスター高等学院がこの研修を通じてどのような学びを得ているのかを、詳しくご紹介します。私たちの取り組みを知っていただくことで、マイスター高等学院がどのような想いで教育事業を行っているのか、その背景にある哲学を感じていただければ幸いです。
未来創造企業とは何か?私たちが大切にする三つの価値
未来創造企業として認定されるということは、私たちが日々の事業活動を通じて、三つの価値を生み出していることを意味します。それは「公益」「共益」「私益」という三つの柱です。
公益:社会全体への貢献
公益とは、特定の誰かではなく、社会全体に対して良い影響を与える価値のことです。私たちマイスター高等学院で言えば、地域産業における深刻な労働者不足という社会課題に対して、若い世代の担い手を育成し、社会に送り出すことが、まさに公益の実践です。
現在、建設業界をはじめとする多くの産業分野で、技術を持った職人の高齢化が進み、次世代への技術継承が危機的な状況にあります。このまま放置すれば、日本の伝統的な技術や産業が失われてしまうかもしれません。私たちは、高校教育と専門技術の習得を組み合わせることで、この課題の解決に取り組んでいます。
共益:関わる全ての人の幸福度向上
共益とは、企業と関わる全ての人々(ステークホルダー)の幸福度を高める価値です。これは一方通行ではありません。企業が価値を提供するだけでなく、関わる人々からも企業に価値が提供される、双方向の関係性です。
私たちの場合、生徒たちは学びながら働き、実践的な技術を身につけていきます。同時に、私たちは生徒たちの成長や熱意から多くの刺激を受けています。また、私たちと連携する企業の皆様にとっても、将来の貴重な人材を育成できるという価値があります。このように、全ての関係者が互いに価値を交換し合い、共に成長していく関係性が共益なのです。
私益:持続可能な経営基盤
私益とは、企業が継続して事業を行うために必要な経済的な価値です。どれほど崇高な理念を掲げていても、経済的に持続できなければ、社会貢献を続けることはできません。
私たちマイスター高等学院は、通信制高校として教育サービスを提供しながら、同時に生徒たちに実践的な就労機会を提供しています。生徒たちは3年間の有期雇用契約を結び、働きながら学ぶことで収入を得ることができます。この仕組みは、生徒の経済的自立を支援すると同時に、私たちの事業の持続可能性も支えています。
認定企業研修では、この三つの価値をどのようにバランス良く追求し、実践していくかを、他の認定企業の皆様と共に深く学んでいきます。
13期生研修のスケジュールと私たちの参加
私たちが参加した13期生の認定企業研修は、2026年2月から5月にかけて、計4回開催されました。具体的なスケジュールは以下の通りです。
第2回研修は2026年2月6日に東京で開催されました。第3回は3月6日、第4回は4月3日、そして第5回は5月15日と、それぞれ東京と大阪の両都市で実施されました。私たちは東京会場で参加しましたが、大阪での開催もあることで、全国の認定企業が参加しやすい配慮がなされています。
研修は金曜日に開催されることが多く、通常業務への影響を最小限に抑えながら、経営陣や幹部スタッフが参加できるよう工夫されています。各回の研修は数時間にわたり、講義やディスカッション、他の認定企業との交流など、充実した内容となっています。
この4回の研修を通じて、私たちは未来創造企業としての理念をより深く理解し、日々の事業活動にどう落とし込んでいくかを学びました。単に話を聞くだけでなく、実際の課題について他の企業の皆様と意見交換をする機会も多く、大変刺激的な学びの場となりました。
研修で学ぶ7分野の指標:私たちの実践から
未来創造企業の評価は、7つの分野に基づいて行われます。それは「地球」「社会」「地域」「顧客」「取引先」「従業員(家族)」「経営者」という分野です。認定企業研修では、これらの分野において、社会課題を生み出さない経営をいかに実現するかを学びます。
従業員の幸福度が企業を強くする
研修で最も重視されるテーマの一つが、従業員との関係性です。従業員の幸福度を高めることは、単なる福利厚生の充実ではありません。それは企業の生産性向上、人材の定着、そして企業文化の醸成に直結する重要な経営戦略なのです。
私たちマイスター高等学院では、生徒たちを「将来の正社員候補」として位置づけています。3年間の学びと就労の期間を通じて、技術だけでなく、社会人としての基礎力や職業倫理も身につけてもらいます。そして卒業後には、希望する生徒を正社員として迎え入れる道を用意しています。
この仕組みは、生徒たちに明確なキャリアパスを示すことで、学習意欲と就労意欲の両方を高めます。同時に、私たちにとっても、3年間かけて育成した人材を長期的に活かせるという大きなメリットがあります。これは従業員(生徒)と企業(学院)の双方にとっての共益なのです。
研修では、このような人材育成と雇用の好循環をどう作り出すか、他の企業の事例も交えながら、具体的な手法を学びました。一定の基準をクリアした労働環境の整備、適切な評価制度の構築、そして何より「ここで働きたい」と思ってもらえる企業文化の醸成が重要だと、改めて認識しました。
地域社会への貢献という使命
私たちの最も大きな使命は、地域産業の担い手を育成することです。これは「地域」と「社会」という二つの分野にまたがる重要な活動です。
現在、私たちは大工コースを中心に運営していますが、今後は農業をはじめとする他の産業分野へも拡大していく予定です。なぜなら、労働者不足という課題は建設業界だけの問題ではないからです。農業、製造業、介護など、多くの産業分野で同じ課題が存在しています。
研修では、私たちのような教育・育成事業を通じた社会貢献の取り組みが、具体的な事例として紹介されることもありました。他の認定企業の皆様から、「地域の産業を支える人材を育てる取り組みは素晴らしい」という評価をいただき、私たちの活動が社会的に価値あるものだと再確認できました。
同時に、この社会的価値をどう測定し、どう発信していくかという課題についても学びました。私たちの活動が地域社会にどれだけの影響を与えているのか、それを客観的に示すことで、より多くの方々に理解していただき、支援の輪を広げることができます。
地球環境と取引先との倫理的関係
未来創造企業は、環境への配慮も重要な評価項目です。建設業界は資源を多く使用する産業ですが、だからこそ環境負荷を減らす取り組みが求められます。
私たちは生徒たちに、単に技術を教えるだけでなく、持続可能な建築や環境に配慮した施工方法についても学んでもらっています。次世代の職人には、技術力だけでなく、環境意識も必要だからです。
また、取引先との関係においても、倫理的な取引慣行を維持することが重要です。研修では、サプライチェーン全体で社会課題を生み出さない取り組みの重要性が強調されました。私たちも、連携する企業の皆様と共に、公正で透明性の高い関係性を築いていくことを改めて確認しました。
認定企業研修がもたらす具体的な価値
認定企業研修は、単なる知識の習得の場ではありません。それは、未来創造企業としての価値を最大化し、持続可能な経営を実現するための実践的な学びの場です。
誇りを持って活動できる力
研修を通じて、私たちは「未来創造企業である」ことへの誇りを新たにしました。社会課題の解決を事業の中心に据えて経営していることが、第三者機関から客観的に評価されているという事実は、私たちの活動に大きな自信を与えてくれます。
この誇りは、経営陣だけでなく、全ての教職員、そして生徒たちにも共有されるべきものです。「自分たちは社会に必要とされる価値ある活動をしている」という実感は、日々の業務や学習への意欲を高めます。
研修後、私たちは学院内で改めて未来創造企業としての理念を共有する機会を設けました。教職員一人ひとりが、自分の役割が社会貢献につながっていることを理解し、誇りを持って働けるような組織文化を作ることが、私たちの重要な課題だと認識しています。
認定企業同士のネットワーキング
研修の大きな価値の一つが、他の認定企業との交流です。未来創造企業として認定されている企業は、それぞれ異なる業界、異なる規模、異なる地域で活動していますが、全て「社会課題の解決」という共通の理念を持っています。
研修の休憩時間や交流会では、他の企業の皆様と活発に意見交換をしました。製造業の企業からは環境配慮の取り組みについて、サービス業の企業からは顧客との共益創出の工夫について、それぞれ学ぶことができました。
特に印象的だったのは、ある企業の「失敗から学んだこと」の共有でした。社会貢献を重視するあまり、経済的な持続性が危うくなった時期があったという話を聞き、公益・共益・私益のバランスの重要性を実感しました。理念だけでは企業は続きません。しっかりとした経済基盤があってこそ、継続的な社会貢献が可能になるのです。
実践的なノウハウの獲得
研修では、認定基準を満たすための具体的なノウハウも共有されます。例えば、従業員の福利厚生において「一定の基準をクリアする」とは具体的にどのようなことか、労働環境の整備でどのような点に注意すべきか、といった実務的な内容です。
私たちマイスター高等学院は、生徒たちに対する雇用契約や労働条件について、常に適切な対応を心がけていますが、研修を通じて、さらに改善できる点を発見することができました。例えば、安全衛生管理の体制強化や、メンタルヘルスケアの充実など、今後取り組むべき課題が明確になりました。
また、社会的価値を測定し発信する方法についても、具体的な手法を学びました。私たちが育成した生徒が地域でどのように活躍しているか、それを定量的・定性的に示すことで、私たちの活動の意義をより多くの方に理解していただけるはずです。
マイスター高等学院の未来への展望
認定企業研修での学びを通じて、私たちは改めて自分たちの使命を確認し、今後の展望をより明確にすることができました。
教育分野の拡大と深化
現在の大工コースに加えて、農業や他の産業分野へのコース拡大を計画しています。それぞれの産業で深刻化する労働者不足に対して、私たちの「働きながら学ぶ」という教育モデルが解決策の一つになると信じています。
新しいコースを立ち上げる際には、研修で学んだ7分野の指標を常に意識します。その産業が地域社会にどう貢献するか、生徒たちの幸福度をどう高めるか、環境への配慮はどうするか、といった視点を最初から組み込んでいきます。
卒業生のキャリア支援の充実
3年間の学びと就労を終えた卒業生が、その後どのようなキャリアを築いていくかも、私たちの重要な関心事です。正社員として迎え入れる道だけでなく、独立を希望する生徒へのサポートや、さらなるスキルアップを目指す生徒への継続教育の機会なども検討しています。
研修で他の企業の取り組みを聞いて、卒業後のフォローアップの重要性を改めて認識しました。一度卒業したら終わりではなく、長期的な関係性を保ち、卒業生の成長を見守り続けることが、共益の継続につながるのです。
地域社会との連携強化
私たちの活動は、地域の企業や自治体、そして地域住民の皆様の理解と協力があってこそ成り立ちます。今後は、地域社会との連携をさらに強化し、私たちの教育活動が地域全体の活性化につながるような取り組みを進めていきます。
例えば、地域のイベントでの技術披露、地域住民向けのワークショップの開催、地域企業との共同プロジェクトなど、様々な形で地域に貢献し、地域から必要とされる存在になることを目指します。
おわりに
未来創造企業の認定企業研修は、私たちマイスター高等学院にとって、自分たちの活動を客観的に見つめ直し、さらなる成長への道筋を見出す貴重な機会となりました。
社会課題の解決を事業の中心に据えるという理念は、決して容易なことではありません。日々の業務に追われる中で、その理念を見失いそうになることもあります。しかし、定期的に開催される研修に参加し、同じ志を持つ企業の皆様と交流することで、私たちは初心を思い出し、前に進む力をもらうことができます。
私たちは、これからも未来創造企業として、地域産業の担い手を育成し、社会に貢献し続けます。そして、私たちの活動が、より多くの若者たちに「働くことの意義」「学ぶことの喜び」を伝え、明るい未来を創造することにつながると信じています。
認定企業研修で学んだことを、これからの実践に活かしていきます。公益・共益・私益のバランスを保ちながら、持続可能な教育事業を展開し、21世紀をリードする企業として、社会から信頼され続ける存在であり続けたいと思います。
マイスター高等学院は、これからも進化し続けます。私たちの挑戦に、どうぞご期待ください。
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