マイスター高等学院の歩み:開校3年目を迎えた私たちの挑戦と実績

こんにちは。マイスター高等学院です。
私たちは、地域産業が直面する深刻な労働者不足という課題に真正面から向き合い、「技術」と「志と人間力」を兼ね備えた現場実務者、つまり「マイスター」を育成することを目的として設立されました。
2025年現在、私たちは開校から3年目を迎えています。まだ若い学校ではありますが、この3年間で積み重ねてきた経験と実績、そして何より生徒たちの成長は、私たちにとってかけがえのない財産となっています。
今回は、マイスター高等学院がどのような歩みを経て今日に至ったのか、そしてこれからどこへ向かおうとしているのかを、皆さんにお伝えしたいと思います。
マイスター高等学院の現在地:開校3年目の今
私たちが歩んできた3年間
マイスター高等学院は、2025年時点で開校から3年目を迎えています。
この3年間は、私たちにとって試行錯誤の連続でした。独自の教育理念に基づき、地域産業の担い手を育成するための実践的なノウハウを一つひとつ積み重ねてきた、非常に重要な期間だったのです。
従来の高校教育とは全く異なる、企業との有期雇用契約を結びながら学ぶという革新的なシステムを、どのように運営すればよいのか。生徒たちが技術だけでなく人間性も成長できる環境を、どう整えればよいのか。日々、答えを探しながら前進してきました。
初の卒業生を送り出す2026年
私たちの教育課程は3年間です。
そのため、開校3年目を迎えた現在、まだ卒業生はいません。しかし、2026年4月には、記念すべき1号生が社会へ巣立っていく予定です。
彼らは、3年間の有期雇用契約という実践的な経験と、高校卒業資格という学歴の両方を手にして、社会で活躍していくことになります。私たちスタッフ一同、その日を心待ちにしています。
初めての卒業生を送り出すことは、私たちの教育システムが本当に機能するのかを証明する、最初の大きな節目となるでしょう。
現在のコースと今後の展開
現在、マイスター高等学院では大工コースのみに生徒が在籍しています。
なぜ大工コースからスタートしたのか。それは、地域産業の中でも特に建設分野における人材不足が深刻であり、社会からの要請が強かったためです。まずは最もニーズの高い分野から、実践的な教育をスタートさせることが最善の選択だと判断しました。
しかし、私たちが目指すマイスター育成の範囲は、決して大工だけにとどまりません。製造業、福祉・介護、農業、飲食業など、さまざまな現場における技術を教えることを目標としています。
実際、農業をはじめとする他のコースについては、来年以降の開校を予定しています。地域社会のニーズに応えながら、少しずつ、しかし確実に、私たちの教育の輪を広げていく計画です。
3年間で積み重ねた経験と実績
有期雇用契約という実践的な学び
マイスター高等学院の最大の特徴は、生徒が学院を運営する企業と3年間の有期雇用契約を結んで働きながら学ぶという点にあります。
これは単なるアルバイトやインターンシップとは全く異なります。生徒たちは、雇用契約を結んだ正式な従業員として、実際の現場で実務に携わります。
高校生という若いうちから、社会人としての責任感や規律を身につけることができる。技術の専門性だけでなく、仕事に対する姿勢や考え方を、現場で直接学ぶことができる。これが、私たちの教育システムの核心です。
例えば、大工コースの生徒たちは、実際の建築現場で先輩職人たちと一緒に働きながら、道具の使い方、材料の特性、安全管理の重要性などを学んでいます。教科書だけでは決して得られない、生きた知識と技術を、日々吸収しているのです。
「志と人間力」を育む取り組み
私たちは、技術だけを教える学校ではありません。
「志と人間力」を兼ね備えたマイスターを育成すること。これが、私たちの最も大切にしている理念です。
具体的な取り組みとして、授業ではYouTubeの『論語物語』を推奨教材として活用しています。論語と聞くと、古臭くて難しそうだと感じる方もいるかもしれません。しかし、論語に書かれている教えは、現代社会でも通用する普遍的な人間の在り方を示してくれます。
「仁義礼智信」といった儒教の基本的な徳目を学ぶことで、生徒たちは職業倫理や社会性を養い、公益への貢献意識を持つようになります。技術者として優れているだけでなく、人として信頼される存在になってほしい。そんな願いを込めて、私たちは人間力の育成にも力を入れているのです。
地域との繋がりを示す具体的な成果
2024年12月23日、私たちにとって嬉しい出来事がありました。
地域の中学校で実施した出張体験授業について、生徒さんたちから感想とお礼状が届いたのです。
中学生の皆さんは、マイスター高等学院の教育内容や、実際に働きながら学ぶというシステムに大きな関心を示してくれました。「将来、こういう道もあるんだと知って視野が広がった」「手に職をつけることの大切さが分かった」といった感想をいただき、スタッフ一同、本当に励まされました。
開校3年目にして、私たちの教育活動が地域に認知され、評価され始めている。この事実は、私たちにとって何よりの励みとなっています。
運営体制の強化と総会の開催
私たちの教育活動を支えているのが、一般社団法人マイスター育成協会です。
2024年12月11日には、マイスター育成協会の第二回総会を開催しました。この総会は、学院全体の運営方針や進捗状況を確認し、正会員である運営企業の連携を強化するための重要な場です。
総会では、各企業の代表者が集まり、これまでの成果と課題を共有し、今後の方向性について活発な議論が交わされました。運営企業同士が協力し合い、より良い教育環境を作っていくための貴重な機会となったのです。
こうした組織的な取り組みが、教育システム全体の信頼性と持続可能性を担保しています。
運営体制と連携システム
神戸から発信する人材育成
マイスター高等学院を運営しているのは、一般社団法人マイスター育成協会です。
私たちの拠点は、兵庫県神戸市中央区北長狭通5-2-19-503にあります。日本の主要な商業・港湾都市である神戸から、地域産業の未来を担う人材育成の取り組みを発信しています。
お問い合わせは、078-381-5884までお気軽にお電話ください。教育内容や入学に関すること、企業として参画を検討されている方からのご相談など、何でも承ります。
神戸という立地を活かしながら、関西圏全体、そして将来的には日本全国へと、私たちの教育モデルを広げていきたいと考えています。
独立した学校運営の仕組み
マイスター高等学院は、一般社団法人マイスター育成協会に正会員として参画した各企業が、それぞれ独立した学校として運営しています。
この体制の最大の利点は、各企業が持つ現場の専門的な技術や経験が、直接教育に反映されることです。机上の空論ではなく、実際のビジネスで求められる知識とスキルを、リアルタイムで生徒に伝えることができます。
例えば、建築会社が運営する学校であれば、その会社が実際に手がけているプロジェクトの中で、生徒が学ぶことができる。製造業の会社であれば、最新の製造技術や品質管理の手法を、現場で直接指導できる。これが、私たちの教育システムの強みです。
通信制高校との連携による卒業資格取得
私たちの生徒は、通信制高校と連携することで、職業教育を受講しながら高等学校の卒業資格も得ることができます。
なぜ通信制高校との連携が必要なのか。それは、将来のキャリア構築において、学歴という基盤も必要だからです。
技術があっても、高校卒業資格がなければ、進路の選択肢が限られてしまうことがあります。逆に、高校卒業資格があっても、実践的な技術がなければ、現場で即戦力として活躍することは難しい。
私たちは、この両方を同時に提供することで、生徒の将来の可能性を最大限に広げたいと考えています。
学歴と専門性、この二つを兼ね備えた人材こそが、これからの時代に求められる存在なのです。
協会の役割と卒業後の進路
マイスター育成協会は、教育システム全体の基盤整備を担っていますが、就職・転職のあっせんは行っていません。
なぜなら、生徒の進路は既に明確だからです。
生徒たちは卒業後、学院を運営する企業に正社員として転換され、そのまま就職します。学生時代から一貫して同じ企業で経験を積むことで、深い専門性と企業への愛着が育まれます。
一般的な就職活動のように、卒業間際になって慌てて企業を探す必要はありません。入学時点で、卒業後のキャリアパスが見えている。この安心感が、生徒たちの学習意欲を高め、より充実した3年間を過ごすことに繋がっているのです。
未来創造企業との連携
未来創造企業とは何か
マイスター高等学院の最大の強みは、卒業後の就職先となる企業の質の高さにあります。
私たちが連携しているのは、「未来創造企業」に認定された企業です。
未来創造企業とは、本業の発展のみならず、本業を通じて継続的な社会問題の解決を事業目的の第一に掲げ、その実践により社会の価値や人々の幸福度を向上させる企業のことです。
単に利益を追求するだけでなく、社会にとって本当に必要なことは何かを常に考え、実践している企業。そういった企業でキャリアを積むことが、マイスターとしての専門性を深めることに繋がります。
厳格な認定基準による安心の保証
未来創造企業の認定は、決して簡単に得られるものではありません。
企業は以下の3つの項目において、一定の基準をクリアする必要があります。
- 福利厚生
- 就業条件
- 労働環境
福利厚生が充実しているか。就業条件が適切で、従業員を大切にしているか。労働環境が安全で、長く働き続けられる場所になっているか。これらの点について厳格な審査が行われます。
この認定基準があるからこそ、私たちは生徒たちに自信を持って言えるのです。「皆さんが卒業後に働く会社は、社会貢献が実現でき、安心して働ける会社です」と。
保護者の皆様にとっても、お子さんを預ける企業がこのような基準をクリアしていることは、大きな安心材料になるはずです。
SSCという経営理念
未来創造企業が目指しているのは、SSC、つまりサスティナブル・ソーシャル・カンパニーです。
サスティナブル・ソーシャル・カンパニーとは、持続可能な社会貢献企業という意味です。一時的な社会貢献ではなく、長期的に、継続的に、社会に良い影響を与え続ける企業であることを目指しています。
実践の結果生まれた経済的価値を適切に分配・再投資することで、企業の持続的な発展に努める。従業員の幸福度を高めることが、結果として生産性の向上や優秀な人材の定着に繋がる。このような好循環を生み出すことが、SSCの本質です。
生徒たちは、こうした高い経営理念を持つ企業で働くことで、単なる技術者ではなく、社会的な使命を持ったプロフェッショナルへと成長していきます。
三位一体の価値創造
未来創造企業は、企業活動が生み出す価値を三つの視点で捉えています。
一つ目は「社会的価値」、いわゆる公益です。企業活動を通じて、社会全体にどのような良い影響を与えられるか。
二つ目は「関係主体幸福度」、つまり共益です。従業員や取引先、お客様など、企業に関わる全ての人々の幸福度をどう高められるか。
三つ目は「社会・経済的価値」、すなわち私益です。企業として適切な利益を上げ、持続可能な経営基盤を築けているか。
特に注目すべきは、二つ目の「関係主体幸福度」です。これは、従業員や関係者が企業に価値を提供することで得られる双方向的な幸福度を意味します。
従業員の幸福度が高まると、仕事へのモチベーションが上がり、生産力が増します。その結果、優秀な人材の採用がしやすくなり、離職率も下がります。この好循環こそが、持続可能な経営の証なのです。
開校3年目の生徒たちが目指す就職先が、このような安定性と高い倫理観を持つ企業であることは、私たちの教育システムの信頼性を大きく高めています。
私たちが目指す未来
日本を守る人材育成の場として
私たちマイスター高等学院は、「日本を守る人材育成の場とすること」を使命として掲げています。
日本を守るとは、どういう意味でしょうか。
それは、地域産業の担い手を育成し、日本の経済と社会を支える基盤を強くすることです。少子高齢化が進む中、多くの産業分野で深刻な労働者不足が起きています。このままでは、日本の産業そのものが立ち行かなくなる危機感があります。
だからこそ、私たちは若い世代に技術を伝え、次の時代を担う人材を育てることに、全力で取り組んでいるのです。
2026年4月、初の卒業生が巣立つ
2026年4月、私たちは記念すべき1号生を社会へ送り出します。
彼らは、3年間の有期雇用契約という実践的な経験を積み、高校卒業資格も取得した、まさに「技術」と「志と人間力」を兼ね備えたマイスターです。
初めての卒業生が、社会でどのように活躍するのか。私たちスタッフ全員が、期待と緊張を持って見守っています。
彼らの活躍が、マイスター高等学院の教育システムの有効性を証明することになるでしょう。そして、それが次の世代の生徒たちへの励みとなり、さらに多くの若者がこの道を選んでくれることを願っています。
広がる教育の輪
現在は大工コースのみですが、来年以降、農業をはじめとする他のコースも開校する予定です。
地域社会のニーズに応えながら、少しずつ教育の輪を広げていく。これが、私たちの今後の展開計画です。
製造業、福祉・介護、農業、飲食業。それぞれの分野で、マイスターと呼ばれるにふさわしい人材を育成していきます。
そして将来的には、神戸だけでなく、日本全国にこの教育モデルを広げていきたいと考えています。各地域の特性に合わせた産業分野で、地域に根ざしたマイスター育成の場を作っていく。それが、私たちの描く未来像です。
実践的で倫理的な教育革命
マイスター高等学院の歩みは、日本の未来を変えるための、実践的で倫理的な教育革命の始まりです。
実践的とは、現場で本当に役立つ技術を教えるということ。倫理的とは、社会に貢献する志と人間力を育てるということ。この両方を兼ね備えた教育こそが、これからの時代に求められています。
私たちは、まだ開校3年目の若い学校です。しかし、この3年間で積み重ねてきた経験と実績、そして何より、未来創造企業という強固なパートナーシップが、私たちの教育システムの確かさを証明しています。
2026年4月に初めての卒業生を送り出すその日まで、そしてその先も、私たちは地域産業の未来を担う人材を育成し続けます。
マイスター高等学院の挑戦は、まだ始まったばかりです。
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